マネジメントとは?その②

●リーダーシップについて

(理解していない人編)

さて、今回もマネジメントの前提となるものについて書いてみたいと思います。お題は「リーダーシップ」です。

リーダーシップと一言でいいますが、みなさんは何を思い浮かべますか?

「カリスマ性?」「周りを勇気づける力?」「社交的な人?」「声が大きい?!」などなど。様々な要素がでてくることと思います。

経営学者として有名なドラッカーは「仕事・責任・信頼」という言葉を使って以下のように定義づけています。

1、リーダーシップは生まれ持った資質ではなく「仕事」である

→目標・基準・優先順位を定め行動する。

2、リーダーシップは地位や特権ではなく「責任」である

→スタッフの行動を支援しながら責任を持つ。

3、リーダーシップは「信頼」である

→メンバーに対する責任を持つことで、最終的に信頼を勝ち取る。

まあ、一言でいうとビジョンを明確にして目的達成へ導く力ですね。ビジョンと結果に着目し、目標達成に向けて時には新しいことに挑戦し創造することで、チーム全体を導いていくことが重要ということです!

私が初めて「上司」になった(”主任”と呼ばれていました)ころは、完全に”地位”や”特権”だと勘違いしていましたね 笑。その頃のスタッフのみなさま本当にごめんなさい m(_ _)m

Compass Orientation Map Address  - MarandaP / Pixabay
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●リーダーシップを理解していない人

私が今までに見聞きした中で、素晴らしいリーダーシップを発揮している人もいれば、リーダーシップをはき違えたダメダメリーダーもいました。

ある人から聞いたリーダー初心者「Aさん」の話です。

3人からスタートした新しい組織の話。

Aさんは2人のメンバーを勧誘し、新しい組織を立ち上げることになりました。念願の自前の法人を立ち上げ理想を実現できると心を躍らせていました。順風満帆なはずだったのですが…

「あれっ?何だか思ってたのと違う…。」

Aさんが勧誘した2人のメンバー(スタッフ)が積極的にどんどん仕事をすすめていくではありませんか。もちろん立ち上げたAさんにある程度の相談はありました。が、ペースが速すぎてAさんにはついていけません。

「この組織を作ったのは誰だ?」Aさんは、ないがしろにされた気分になり面白くありません。「リーダーは自分だ。」

勧誘した2人のスタッフのうち一人を「管理者」に据え事業はスタートしました。Aさんは相変わらずスタッフたちのペースについていけない中、把握できないものがどんどん出来上がっていきます。

「予備駐車場の候補案」「ゴミ処理業者の手配」「お客からとる細かい代金」「行政に提出する書類」……。懸案事項がどんどん溜まっていく毎日。

どれ一つまともに判断できず、スタッフたちの思うままに進んでいく。

これまでのAさんの仕事人生で「責任をもって決断」する場面はほぼ皆無でした。そしてスタッフたちはどんどん自分の意見を言ってきます

(創業メンバーはそういう人が多い。だって安定している大きな組織ではなくゼロからスタートさせるリスクをしょっても「やりがい」を優先させる人たちですから。)

「まずい。なんとかリーダーとして何か示さなくては…。」

そこでAさんが提案したのはスタッフに業務日報を書かせ、提出すること。これまでのAさんの仕事で書いてきたようです。”管理”職のイメージだったんでしょうね。

スタッフは「効率が悪い!」と猛反発。「ただでさえ少ない人数でたくさんのことをやっているのに、時間の無駄!」

(こんな感じだったようです。でも、もう少し優しい言い方をしてもいいですね。熱すぎです。笑)

結局、Aさんはいろいろあった結果2人の創業メンバーをコントロールできず「解雇」してしまったとのこと…。創業期以降に入ってきたパートさんたちも唖然・・・。

その後、事業は大混乱していくことになります……。

Baby Girl Kid Children Girl Child  - mirkosajkov / Pixabay
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●何がいけなかったのか…

Aさんは積極的なスタッフに埋もれて、組織における自分の存在意義がないと感じていたことでしょう。ばりばり仕事を進める2人をみて羨み、嫉妬もしたのだと思います。

Aさんがリーダーの役割を理解していたら2人を解雇なんてしなくても良かったのに。

<ポイント>

1、リーダー = ボスざる と勘違いした 

2、組織の基準を示せなかった

3、スタッフの信頼を軽んじていた

4、「責任」を意識していなかった

◎1・3について

仕事はそのひとの人生観が現れます。承認欲求が強すぎる人は「損得感情」が強く、自己肯定感が著しく低いです

(私もその傾向が強いのでよくわかります)。人よりも優れていないと誰からも愛されない(認められない)と思い込んでいます。

この場合は「できないことはできない。2人とも頼んだね。」とできない自分を認めるだけで全てがうまくいったはずです。この簡単な一言で2人の信頼は勝ち取れたのに……。

リーダーだからといって必ずしも他者より「強い(できる)」必要はないのです。

リーダーシップはあくまで、仕事上のもので人間の資質ではありません。むしろ、必要とあらば「馬鹿になれる」人の方が適していると私は思いますよ。

◎2について

基準を示せないのは”理念”が無いからです。

また、基準を簡単に変えてしまうのは自分に自信がないからです。

組織とは人の集まりです。全く基準が同じメンバーなどいるはずがありません。その中で”理念”のもとに人が集い”思い”を共有していくのです。

「人に嫌われたくない」という気持ちが強すぎる人は「批判される」ことを極度に恐れるため、「自分の意見」を思い切って表現できません。

Aさんは「批判されること」は自分を否定していると受け止めるので、いつまでたっても基準を示すことはできません。

◎4について

Aさんがリーダーシップをとれなかった最大の原因は「責任」を考えていないことです。

先の見通し(優先順位)をつけることなく創業メンバーを解雇してしまえば、周囲からの信頼を損なうとともに残ったスタッフからの信頼も一気に失います。

・スタッフへの責任

・顧客への責任

・事業体への責任

最後の事業体への責任は特に大切です。事業とは本来社会に対してどのように貢献していくかが大切ですから、事業の存続に責任をとれないのであればリーダーシップをとれていないことになるのです。

Prague Street Old Blank City  - ivabalk / Pixabay
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●まとめ

1、リーダーシップは資質ではない。状況に合わせて何にでもなれることが大切。

2、基準を示すには「人から嫌われたくない」を脱しなくてはならない。

3、リーダーシップとは詰まるところ「責任」をとることである。

 →これができればリーダーの仕事はほぼ完了!

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