「勉強が苦手な子」に教えるコツ④

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好奇心が湧く子は伸びる

「うちの子はゲームばかりで他のことに全く興味がないんです・・・。」よく保護者の方からこんな相談をされます。今回は子どもの「好奇心」について考えてみたいと思います。

子ども達は言葉を覚え始めたころから、身の回りの大人に「どうして?」「どうして?」と自分が不思議に思う事を聞き続けて、大人が困ってしまうなんてことがよくあります。😂

ここでちょっと脳科学的に考察してみましょう!😏

人間の本能には下記の3つの本能があるそうです。

  1. 生きたい本能
  2. 知りたい本能
  3. 仲間になりたい本能(誰かの役に立ちたい本能

「ちゃんと集中できる子の脳は10歳までに決まる」 林 成之 著 PHP研究所

子どもが「どうして?」と大人に質問してくるのは人間が本来持っている「本能」ですので、当然の行動のようです。

生物学的に考えてみますと、野生動物は常に捕食者に「食べられてしまう危険性」があるわけです。

「あの木の陰にいつもオオカミがいることが多くて、仲間が食べられているな」なんて情報を「知る」事ができれば食べられずにすむかもしれませんね。

もちろん人間は「食べられる」ことはありませんので、「知りたい」欲求の出所は違いますが本能にはきちんと「知りたい」という欲求が組み込まれています。

勉強が苦手な子には「好奇心」が失われている子が多く見受けられます。

たいていの場合は「学ぶ」ことへ義務感が強く、勉強という行為そのものが大人に叱られる原因になってしまっているからではないでしょうか😥

Class Learning Brother  - NgoHuuMoi / Pixabay
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好奇心が失われる原因

このテーマは嫌ですね・・・。心当たりがありすぎて胸が痛む・・・。という保護者の方も多くいらっしゃると思います。

  1. 好奇心が満たされる経験が少なかった
  2. 疲れている
  3. 不安が強い
  4. 依存心が強い
  5. 不便さを感じない

などが挙げられます。

一つ前提として言えるのは「不安が強い子」は好奇心まで到達しないということです。

家庭環境に不安を抱えていたり、親から愛されていないと感じていたり(あくまで本人の捉え方です)する子は、まずは生存本能(内向き)が働きますから好奇心(外向き)は湧きようがないのです。

また、「依存心」が強い子は好奇心が湧きません。

「何で〇〇〇なってするの!」

「早くやることやっちゃいなさい!」

「勉強したの?将来困るよ!」

これらを連発しすぎると、子どもは「叱られないよう」に生存本能が発動し「大人の言う事をきく」事が最優先事項となってしまうのです。

結果、自分で考えて行動しない「依存度」が高い子になってしまいます。

また、与え過ぎもよくないと思います。

「知りたい本能」は根源的には、生物が生き残るために必要な力として備えているものと考えられます。

人間の子どもは生きるのに困ることは早々ありません。

習い事やスポーツなど親が環境を整えてあげる部分も必要ですが、子ども自身の主体性が育っていないと「満足感」だけが残って自ら欲する状況にはなりにくいです。

これは大人が与えているようで、実は奪っているのかもしれませんね。💦

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好奇心を開放するには

では、勉強が苦手な子の「好奇心」を開放してあげるにはどうしたら良いのでしょうか。

絶対的な答えはもちろんありませんが、「安心感」⇒「好奇心」⇒「体験を積む」の順番で進めて行くと上手くいくことが多かったように思います。

前述した通り、自分の生存が危ぶまれる状況で好奇心は湧きようがありません。

ですから、まずは大人が「その子のことを認めてあげる」事がとても重要になってきます。

これは言葉にするととても簡単そうですが、なかなか出来ずに日々戦っておられる保護者様が多いように思います。

ここで一つ事例をご紹介します。

あるおシングルマザーのお母さんとの会話。

「〇〇さんはとっても優しい子ですね。というかとても強い子のように思います。他の子によく気を配っていると感じます。何か子育てで意識していることはありますか?」

「えー。特に気を使っていませんけど一つだけ・・・。」

「想像することをやめないで」といつも話しています。

他の人がどういう気持ちなのか、今どういう状況なのか、を常に感じて考えてみて欲しいという趣旨だそうです。

実際にこの子は明るく、好奇心の強い子に育っているように見えます。

通分が理解できていなかったのですが、教えるとすぐに理解しできるようになりました。、

大人は子どもについつい細かい注意をしたくなりますが、「根本的な教育観」とでもいうべき大枠を示すことなのではないかと思うのです。

子どもは、大人の意に沿わないことも多々あります。

そんな時、「例外として許す事」「絶対に許さないこと」を大人がしっかり分けている事がとても重要です。

まずはありのままの(勉強が現時点でできていない状況の)子どもを認めてあげて、安心感を作ってあげましょう。

また、脳科学のところでもお伝えしたように、人間の本能には「仲間になりたい本能」があります。

好きな人が興味を持っている事に、いつしか自分も興味を持つようになったという経験はだれしも1度はあるはずです。

好奇心が湧きずらい子に「他者を尊敬していない(好きではない)」という傾向もあります。

大人が人の悪口ばかり言っていると子どもは他者を尊敬しなくなり、その人の興味を受け取らなくなります。

※だから「先生」と呼ばれる人は、子どもに「嫌い」から入られるとアウトです。勉強が嫌いな子が育ちます。

仲間になりたい本能を適切に開放するために「偉人」の話をしてみたり、身近にいるすごい人の話をしてみたり、親のいい所を話したりしてみましょう。

最後にお伝えしたいのは「経験」の重要性です。

ぜひ、子どもと一緒にキャンプしてください。

ぜひ、子どもと一緒に星空を眺めてあげてください。

ぜひ、一緒に工場見学などいろいろな世界を見てください。

大好きな人と経験したことは、そのままその子の大きな大きな「好奇心」につながっていきます。🤗

「勉強が苦手な子」に教えるコツ!③

Self Esteem Motivation Positivity  - sweetlouise / Pixabay

自信を与える

まずは勉強が苦手な子から実際に聞いたお話を基にみなさんにお伝えいたします。

勉強が苦手な子はとにかく自信がありません。小学校の中学年から高学年にかけて自分が学習内容を理解できているか、できていないかを子ども達は知り始めます。

子ども同士で「比較」し合い、「あの子はすごく頭がいい。だって〇〇〇習ってるし、いつも先生に褒められているもんな~。どうせ俺なんて・・・。」とか言っちゃってます😅

兄弟がいて片方だけ勉強ができる子だと、「必殺兄弟比較!」の大技をくらい早々にノックダウン状態(この技は小学生のうちにくらうと致命的)。

そして、中学校に入学すると年間4回ある定期テストで「学年順位」がでて、自分がどの位置にいるのかを明確に知り、心の中は・・・。

そんなふうに勉強に自信を無くした子に親や先生がいくら「勉強しなさい!」と大きな声で何度促しても、その声は子どもに響くことはなくプレッシャーが高まりどんどん勉強がいやになってしまいます。😥

Branch Branch Point Split  - ijmaki / Pixabay

 自信の基礎を考える

自信の裏にあるもの

人生において自信を持って生きることはとても大切です。子ども達には本当の意味での「自信」をつけてあげたいですよね。

勉強が苦手な子に自信を持たせてあげる時に注意したいことがあります。それは、自信を「過剰な他者との比較」で付けないということです。

ものすごく学歴が高く優秀な人がいたとします。

では、その人の「自信」はどのようにしてできているでしょうか?

「自分は小学生のころからずっと学年で3本指には常に入っていた。」😤

「中学、高校とずっと生徒会長だった。」😤

もちろん、背景にある事柄でこれらの意味合いは変わってきますけど、他者との比較やポジションでのみ自信が形成されていくと後々大変です。

それは何故か。

自信を持つことに根拠が必要だからです。

上記の子は「成績が3位以内」でなくては自信が保てません。

「生徒会長選挙に落選」したら自信が粉砕されます。

自信は「自らを信じる」ことです。それは、自分の事を無条件に信じてくれる(愛情をくれる)存在が後押ししてくれるものです。

お子様の自信を考える時にこの前提を外して考えると、短期的には良くても長期的に見ると全て失敗してしまうと思います。

そして運よく「根拠」が崩れなかったとしても、「他者との比較」で自信を得た人は「他者を認めない」思考回路になっていく場合があり、批判を受け入れる事ができなくなります。

絶対にさじを投げない

勉強の苦手な子はすでに「自己肯定感」がとても低い状態にある場合が多いです。教える側が「できるように」してあげたいという気持ちが強すぎると、「できた場合」にのみできる「条件つきの自信」が積みあがってしまう事になります。

<勉強を教える時の注意点>

  1. 勉強にチャレンジしている状況を認める
  2. 「できなくても」否定しない
  3. 教える側があきらめない
  4. その子の興味・関心からアプローチする  例)昆虫好き→理科好き→計算も!
  5. 一緒に勉強する事を楽しむ

こんな点に気を付けて子どもと勉強を進めるとよいでしょう。

とはいえ「できるようになる」ことはてとても重要な要素です。問題は「子どもが諦めず、粘り強く向き合う姿勢」をどのように育んでいくかということです。

教える側が「何度でも」笑顔で根気強く教えてあげましょう。

「覚えていなかった」「何度も同じミス」をするのは本人のやる気も問題ではありません。だれよりも本人が自己嫌悪に陥っています。

「どうせ俺なんか・・・」

ではなく「見捨てず教えてくれてありがとう!」と子どもが感じる事が大切ですね。

Board Game Play Gesellschaftsspiel  - Bru-nO / Pixabay
Bru-nO / Pixabay

目標は変えない。達成時期をズラす

これは「見守る側」の勇気が必要です。勉強が苦手な子の中には発達特性等で、周囲の子よりも学習の習得スピードが遅い子がいます。

文部科学省が定める学習指導要領の通りに行かないこともあります。「分数」の「通分」の習得に半年かかってしまう子もいるでしょう。

学校の進むスピードは変えられません。保護者や子どもの学びを支える周りの人が、子どもとよく話をして「新たな目標達成時期」を決める必要があるのです。

子どもが諦めずに取り組んでいるなら、それでいいじゃありませんか。

高校入試、大学入試に間に合う事は必ずしも重要ではないと考えましょう。

ここにとらわれると、生涯「学び」をしない人間になってしまいます。

自分が「できない」事で、自分に一生懸命関わってくれた人の存在に気づき、その中で得た「分かった」「できた」の価値は他の子よりむしろ大きいかもしれません。

勉強が苦手な子に教える際に大切なのは「その子の理解のペース」を把握し、根気強く関わってあげる事だと思います。

「勉強が苦手な子」に教えるコツ!②

Pencils Kids Games Education  - Sashasan / Pixabay

子どもの話をよく聞くこと

当たり前の事にしか聞こえないと思われますが、少し詳しくお話ししたいと思います。

「子どもと向き合いながらじっくり教えます!」と言われると「どっかの塾のキャッチコピーみたいだな。」と思われる方もいますよね。

言葉にするのは簡単ですが実際はそんなに簡単ではありません💦

今日は向き合う際の基本的姿勢(心理・言葉・外見)やスキルについてお伝えしていきたいと考えています。

まずは心理面の理解から。😄

勉強が苦手な子(不登校の子)は自信を無くしている子がほとんどです。

できていなくてもできている風を装いたくなったりします。

また、できていないことを「隠したい」という気持ちを少なからず持っているものです。

その時に子どもの言葉だけを鵜呑みにしてしまうと、子どもの不安な気持ちに気づけず「学びたい」という気持ちを起こさせてあげることができません。

子どもにとっては、大好きな人だから「弱い部分を見せたくない。」という気持ちも強く働きます。

「ここが分からない。」と告白することは子どもにとってとても勇気がいることなのです。

「〇〇くん、分かった?」「うん。分かった。」のやり取り最中の声のトーン、表情を確認しながら子どもにアウトプットしてもらい理解度を確認していきます

そして、子どものアウトプットを引き出すのに必要なのが、いわゆる「傾聴」というやつです。

Classroom Desk Bench Book School  - 玺滨 / Pixabay
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次に「教える側の」基本的姿勢についてです。😄

福祉の業界ではもはや常識的な言葉ですが、教育業界ではまだまだ一般的ではないかもしれませんので簡単にご紹介。

<傾聴とは>ロジャースの3原則

1.共感的理解 (empathy, empathic understanding)
相手の話を、相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとする。

2.無条件の肯定的関心 (unconditional positive regard)
相手の話を善悪の評価、好き嫌いの評価を入れずに聴く。相手の話を否定せず、なぜそのように考えるようになったのか、その背景に肯定的な関心を持って聴く。其のことによって、話し手は安心して話ができる。

3.自己一致 (congruence)
聴き手が相手に対しても、自分に対しても真摯な態度で、話が分かりにくい時は分かりにくいことを伝え、真意を確認する。分からないことをそのままにしておくことは、自己一致に反する。

このように傾聴とは「聞き手側の姿勢」の事をさしますが、実はこれによって相手のアウトプットが引き出される事が大切なポイントとなります。

前述したような基本姿勢(心理)で子どもの話を聞きます。

また、実際に話を聞く際には次の事を気をつけると良いでしょう。

  1. 相手の目を見て話す(表情豊かに明るく朗らかに)
  2. 相手の言葉を繰り返す(自分の言葉を繰り返している→承認された!)
  3. 相手の言葉に質問する(自分のことを深く理解しようとしてくれている!)

そして、傾聴しながら子どもから聞き出した「わからない部分」を分析していくのです。

Pencils Colorful Color School  - lucasgeorgewendt / Pixabay
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分からない事をどこまで分割できるかが勝負

最後にスキル面からお話しします。😄

高学歴の人が必ずしも良い先生になれるわけではありません。それは多くの人が自分が理解してきた過程で他人にものを教えようとするからです。

高学歴の人はその優秀さゆえに「理解のステップ」を自身が一足飛びに駆け上がっていることが多く、その途中で理解できなくなるという経験をしていないのです。

(もちろん高学歴の方でも相手の状況をよく想定できていて、細かいステップを見つけてあげられる人もいらっしゃいますよ。)

では、例を挙げてみたいと思います。

「異分母どうしの足し算」は「通分」してから計算してね!

     ↓

生徒が固まる・・・(何も言わず厳しい表情🙄)この時は例えばこんな事が考えられます。

・通分ってどうやるの?🤔

・最小公倍数ってなに?🤔

・その時、分子はどうするの?🤔

・掛け算・割り算の時はどうなの?🤔

・そもそも何で通分する必要があるの?🤔

※場合によっては掛け算の九九が不安定なことだってあります。

分からない所は本当に人それぞれです。決めつけてパターン化してしまうと、その子に合わないステップにしてしまい、目の前にいる子の学びたい気持ちを折ってしまいかねません。

福祉では相手の漠然とした不安を解消していく際に「傾聴」を使いながら、相手にアウトプットしてもらい「解きほぐして」いきます。

その感覚と「勉強が苦手な子」に教える行為は非常に近いと思います。

その子が話しやすい環境をどのように作り、どれだけ細かくステップを設定できるかが「分かった!」の笑顔をつくる大切なポイントと言えそうです。

Brain Books Think Read Education  - GDJ / Pixabay
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